自称若手内科医の雑記ブログ

試験勉強や興味あるものを書いていきます。試験勉強メイン。

労働衛生コンサルタント試験合格したものの、使い所が難しい

労働衛生コンサルタントの保健衛生区分で合格した時点で産業医資格は得られます。コンサルタントとしては登録が必要なようです(登録しないとコンサルタントとして活動しちゃいけないのかはよくわかりません)。

登録の有無で変わることとしては、日本労働安全衛生コンサルタント会(以下コンサルタント会)に入会する際の会員の区分です。正会員と準会員があります。正会員はコンサルタント登録してる人が、準会員はコンサルタント試験に合格していて、コンサルタント登録をしていない人が該当します。それぞれ会費が異なります。

ですのでコンサルタント登録をするかどうかという二択が発生します。ただ、せっかくコンサルタント試験に合格したので感情的にはコンサルタント登録したいと言うのがあります。→コンサルタント登録しました。コンサルタント登録の際に事務所名や、事務所の住所が必要なんですが事務所名はなんでもいいみたいです。田中太郎さんの労働衛生コンサルタント事務所であれば、田中労働衛生コンサルタント事務所みたいな名前にしてる人が多いよって試験協会の案内に書いてありました。みなさんシンプルな名前をつけることが多いみたいです。

コンサルタント登録するのかとは別の問題として、そもそもコンサルタントとしての仕事があるのかどうか、です。登録したところで結局案件がないと意味がありません。先達に聞いたところ、産業医案件はたくさん持っていてもコンサルタント案件自体はやったことがないという話でした。

私は認定産業医は持っておらず、実務経験もないため、そもそも産業医案件すらありません。なので前述の先達とは全く状況が異なりますし、コンサルタント登録はしておくと名刺やプロフィールにも書けると考え登録しました。半分以上自己満足の目的です。

コンサルタント会については、入会している人から得られた情報がほぼないので本当によくわかりません。チラッとホームページを見るに、名簿に名前を書いてもらえるみたいです。産業医として働くのであれば別かもしれませんが、コンサルタントとして案件を拾いに行くことを考えると入会してみるメリットはあるのではないかと思います。デメリットは会費をそれなりに要する点です。

単年だけ入ってみるのもアリかと思い、コンサルタント登録票が来たら入会しようと思っていましたが、今の職場では産業医案件を受けるのにトップの許可がいるので、コンサルタント会入会して仕事を受けても仕事ができないことになりそうです。なのでコンサルタント会入会は保留にしました。登録者講習は受けてもいいかもしれません。

とはいえ、結局コンサルタント登録しようがコンサルタント会に入会しようが、それで案件がくるわけではなさそうです。私は本業は臨床医ではあるものの、労働衛生にも興味があるため、コンサルタントもしくは産業医資格をどのように活かすかが問題です。全く使わないのであればそもそも取った意味がありません。取得までにそこそこコストもかかってますので...。

そこでざっと考えたところ案としてはいくつかあります。

1.産業医案件を取りにいく

2.コンサルタント案件を取りにいく

3.衛生管理者や労働衛生コンサルタントの受験支援でyou tubeなどでの情報発信

4.口頭試問の問題と解答を有料で提供する

5.最新の労働衛生の法改正やガイドライン改訂などの解説を作成してnoteで有料で提供する

6.他の資格を取得して、労コンと合わせ技で付加価値をつける

 

1.2は一社目の壁があります。実務経験のない産業医には案件が来ないという話です。あとは本業の病院で副業許可が出るのか問題もあります。副業許可が出れば、一社目の壁をクリアしてからは順調にいけるかもしれません。

幸い私は知り合いの事業所で単発ですが案件をもらって対応したので、一社目の壁はクリアしました(ないよりはマシという程度ですが)。継続的に案件を取れれば収益性は悪くないです。ただ自分が現場にいって巡視なり診断なりを行うので、こなせる契約数には限りがあるのもデメリットです。何にでも言えることですが、プレイヤーである限りどうにもならない問題ですね。マネージャーにならないと...。

3は収益化ラインまで持っていければ大きいですが、衛生管理者の対策講義で人気のチャンネルでも登録者数はさほど多くないですし、労働衛生コンサルタントの対策講義はほとんど存在しないですが受験者数が少なすぎて、マーケットとしては期待できません。いずれにせよ短期間での収益化は困難に思えます。収益化は度外視して、自分の事務所を構えた場合のブランディングの戦略としては良いかもしれません。サブで教育コンテンツ作ってます、というとなんかかっこよくないですか?笑

動画にせよ音声にせよ、ストック型のビジネスを目指したいところではあるものの、試験の性質上法改正が頻繁に入るので、一度コンテンツを作ってもあとは放置ができません。この点は歴史の授業や数学、物理、化学などの高校生向けコンテンツが強い点の一つですね。歴史などは最新の情報で更新されることもあるものの、基本的には毎年同じ内容を毎年新しい視聴者に提供するので、一度コンテンツを作ってしまえばなんとかなるんだと思います。ただ労働衛生関係についても今後も変更されないであろう内容もあるので(3管理や5管理、OSHMSなど)、一部の内容については法改正されても特に手を加えなくて良いかもしれません。内容とは別に、音声を自分の声でやるか、合成音声を使うかなどの問題もあります。さらに動画編集のスキルも必要です。動画や音声コンテンツ配信は魅力的な選択肢ではあるものの、実務を行うのとは別のベクトルでハードルが高いです。メリットはストック型のビジネスになりえることと、動画編集スキルなども一緒に手に入ることでしょうか。

4については私が受けた時の分は問題なく提供できますが、来年以降の過去問が入手できないので継続性に疑問が生じます。ちなみに今年の分は複数人の分から解答作成したところWordで70ページ程度という凄まじい分量になったので(2023年度の過去問はword  25ページぐらい)、今後も受験者が増えると過去問のボリュームはどんどん増えそうです。ボリューム的には有償提供しても許容されると思っていますが、2024年度の解答例については一部で有識者から答えのアイデアをもらったので有償で提供するのは倫理的に不味くなってしまいました。自分の知識と経験では解答を作成するにあたり、エビデンスベースで95%は作成できるものの、残りの5%を埋めきれないので、有償で提供したとして金額に見合ったクオリティが担保できるのか、という問題もあります。この点は実務を行ううちに解決できる気もしますが、いずれにせよ新しい過去問を手に入れるのが難しくなるのは間違いないので収益化の方法としては継続性に疑問が生じます。そもそも試験対策として数人分程度での過去問では出題範囲をカバーしきれないので、最低10人分くらいは過去問が必要です(それでも少ないですが)。さすがに毎年10人以上から過去問を手にいれるのは現実的じゃないです。

5については労働衛生関係のスペシャリストがすでにblogやyoutubeで無償で情報公開しており、実務経験のない私が参入する余地はなさそうです。

ここまで書いていて気づいたんですが、臨床がメインで、かつ今後も臨床をメインでやっていく勤務医では労コンとるメリットが大きくないかもしれません。自分の職場の就業規則にもよりますが、副業推奨の病院でもなければ労コンは宝の持ち腐れになる可能性があります。

6について、たとえば労コンをもっていると衛生工学衛生管理者の講習を受講できます。衛生工学衛生管理者として実務経験を重ねると、化学物質管理専門家の要件も年数次第で満たせます。ただこれも結局実務経験が必要ですし、衛生管理者の巡視頻度を考えるとまだ産業医のほうが負担が少なそうです。他にオキュペイショナルハイジニストも選択肢になってきますが、こちらも5年以上の実務経験を要求されるので、講習うけて試験受かっても実務経験ではねられてしまいます。その他の国家試験を受けるというのも、シナジーがあれば検討の余地があるのですが、いかんせん膨大な勉強時間を要求する試験が多く、合格率も低いものが多いので難しいです。難易度が高くない国家資格もありますが、そのような資格の場合付加価値をつけにくそうではあります。特価物の作業主任者は取得しましたが、これを取ったから労コンなり産業衛生の仕事が増えるわけではないです。そもそも必置資格なので、私の状況だと開業して特価物を使うときぐらいしか役に立ちません。

結局、現状では産業医や労コン案件をこなすのは難しい(病院の許可がおりない)ので、消去法的になんらかのプラットフォームで情報発信をするのが現実的なようです(収益化は度外視で)。副業・兼業の促進に関するガイドラインもでているので、世の中の流れ的には副業OKだと思うんですが・・・なかなか難しいものです。試行錯誤するしかないですね。副業禁止がとてつもなくハードルを上げてきます。

特定化学物質・四アルキル鉛作業主任者講習の感想

特定化学物質•四アルキル鉛作業主任者講習を受けてきました。ちなみに四アルキル鉛はヨンアルキル鉛ではなく、シアルキル鉛と読むそうです。

内容は他の人たちもブログなどで書いているので、私は労コン受験に役に立つのかという視点での感想です。

結論からいうと、特化則に苦手意識があるのであれば、受けてもよいかなと思いました。

近年の労コンの筆記試験において、特化則などの特別則は細かいところまで問われるので対策は必須になります。ただ範囲が膨大なので対策がなかなか難しいです。

特に関連法令では重箱の隅をつつくような問題も出される傾向にある印象です。しかも法令自体読み慣れていないと読むのも大変です。

さらに特化則は対象となる化学物質が多く、すべて暗記するのは現実的ではないですし時間の無駄です。

特化物の作業主任者講習では最低限の法令や、1-3類の化学物質について一通り最低限(一言だけのこともありますが)説明してもらえるので特化則への苦手意識は軽減されました。ただ労コンの筆記試験対策としてはもちろん不十分なんですが、テキストの各化学物質の説明が視認性が高くまとまっているので試験対策にも使えると思います。

さらに呼吸用保護具の解説などもあり、こちらはかなり深く解説してもらえるので、独学で勉強した時よりも解像度は明らかに高くなりました。空気呼吸器が緊急時用とか知らないんだよ...。

講師の先生に質問もできるので、実務経験なし勢からすると非常にありがたいところです。私が受けた時は、薬剤師の先生が化学物質の各論を説明して、作業環境改善や法令などを労働衛生コンサルタントの先生が担当してました。労コンの先生は作業環境測定士も持ってるそうで、おそらく衛生工学区分の労コンなんだろうなーと思って聞いてました。

修了試験は非常に簡単です。労コン受験考えてる人からすると満点取って当たり前レベルでした。悩む問題もなく、いかに早く解くかの勝負でした。ただ問題自体は簡単とはいえ、文章は長いのと、ひっかけ的な問題が多いので舐めすぎると落ちるかもしれません。多分落ちた時の精神ダメージは凄まじいです。

作業主任者講習を受けるメリットとしては、特化則への苦手意識が軽減される可能性があること、講師へ質問できること、呼吸用保護具の理解度が上がること、作業主任者になれること(一般にはこれがメインの目的)、です。

難点としては2日間拘束されること、講師の質に左右されること、テキストだけならAmazonなどで買えばよいこと、講習のために休みを取るor土日を使う必要があることですね。

デメリットを挙げるとキリがないですが、独学で煮詰まっていたら気分転換も兼ねて受けると得られるものがあるかもしれません。私は受けてよかったと思っています。

労働衛生コンサルタント試験の感想

年単位で更新をしていないですが、2024年度の労働衛生コンサルタント(保健衛生)に合格しましたので勉強方法をメモします。

2回目の受験で合格しました。産業医資格なし、産業衛生の実務経験なし、医師会にも入会してませんので筆記試験から受験です。背景として内科専門医、神経内科専門医を取得しており2次救急の病院で当直込みで働いている30代中盤です。一応専門は神経内科です。2023-2024年は症例に関係する勉強以外はほぼ労働衛生の勉強しかしていなかったですが...。

 

2023年度は関連法令のみ受験し(点数は11/15)、口述試験で不合格でした。

2024年度は衛生一般と関連法令で受験し(衛生一般26/30、関連法令9/15)、口述試験で合格しました。健康管理は2回とも免除しています。

筆記試験をすべて免除できる講習がありますが、参加条件を満たしていなかったで受けていません。たぶん条件満たしても受けなかった(業務の都合がつかないため)と思います。

 

医師の場合衛生一般と健康管理が免除できますが、衛生一般の点数が稼ぎやすいので健康管理のみ免除した方が良いと思います。筆記試験の合格基準は合計で概ね6割かつ4割を下回る科目がないこととされており、出題数はそれぞれ衛生一般が30問、関連法令が15問です。1問あたりのウェイトは衛生一般と関連法令で同じです。関連法令が細かい法律の知識を問われるため難易度が高く、6割を下回る可能性も高いです。衛生一般は比較的点数が取りやすく、関連法令でのミスをカバーできる可能性があるため衛生一般を受けるのが良いという結論です。極論を言うと関連法令が6問(4割)、衛生一般が21問(7割)取れれば筆記試験は突破できます。

ただ6割を下回る科目があると精神衛生上よろしくないので、基本は6割を取れるようにしつつ、関連法令でミスした時の保険として衛生一般でカバーするというスタンスでした。

筆記試験の勉強方法は衛生管理者のテキストを読み込み、後は過去問演習をしました。労働衛生コンサルタント試験の筆記試験専用のテキストはないため衛生管理者のテキストで代用します。ただ衛生管理者の試験とは若干問われる内容が異なるため、特に関連法令についてはe-g o vでその都度わからないところや周辺知識を整理しました。特別則の内容については細かいところまで問われるのと、さすがに全ての条文を暗記するのは現実的ではないためある程度割り切って覚えるところと諦めるところを分けました。

過去問は「実務家のための労働安全衛生のサイト」というサイトに非常に丁寧な解説があり、過去問演習はこのサイトで勉強しました。労コンを受ける人で知らない人はいないというぐらい有名なサイトです。

2023年3ー4月ごろから勉強を始めました。まずは衛生管理者のテキストを読みますが、そもそも最初は内容が全く理解できません。1週読み終えてからまた読み返すとだんだん内容が理解・記憶できるようになってくる感じでした。幸い生理学の内容は医学部時代に履修した内容でカバーできたため、生理学・医学の分野は軽く読み飛ばす程度で時間短縮しました。

1−2周ほど衛生管理者のテキストを読み終わったところで、次に労働衛生のしおりを読みました。一部界隈で名著と評判の書籍です。実際2度目の受験のときには、本当に良いことや重要なことしか書いてないと感じたのですが、1度目の受験の際には全く頭に入って来ず困りました。1周目に読んだ際はほとんど内容が理解できず、しかも書き方に抑揚がないためどこが重要なポイントかがわからない印象でした。1度目の筆記試験対策としては1周も読みきれませんでした。

大体衛生管理者のテキストを2周ほど読んで、労働衛生のしおりを途中で挫折して、7月くらいに過去問演習に入りました。関連法令は7年分ほど遡り、わからない問題はその都度衛生管理者のテキストに戻ったり、柳川先生の解説を読み込みました。過去問は7年分を4周ほどしたと思います。

2023年度は比較的関連法令の点数がとりやすかったみたいで、なんとか運良く筆記落ちは避けられました。

口述試験対策としてはAmazonで売っていた労働衛生コンサルタントの口述試験対策本を購入し暗記しようとしたのですが、複数購入してどっちつかずになってしまいました。また労働衛生のしおりを本格的に読み込み、大体4週ぐらいしました。結局全部は覚えきれていないですが…。口述試験対策本については、問題と回答をスマホの単語アプリにいれて暗唱する、という勉強法を行いました。

また12月に毎年口述試験の対策講座が開催されるので参加し、予想問題をもらいました。ただ予想問題の解答作成をサボり、わからない問題の解答を調べないという舐めプレイをしてました。前述の口述試験対策本も本来は全て暗記するレベルが必要ですが、半分も覚えずに本番に突入して撃沈しました。後から対策本を読み返すと、本番で聞かれた問題が概ねカバーされていたので完全に怠慢でした。

 

2024年度は気を取り直して、衛生管理者のテキストを最新版のものを購入するところから始めました。法律系は頻繁に改正されるため、出題範囲を意識した方がよいです。2024年4月時点での大きな改正としては雇入時の教育が全職種省略不可になっており、この改正のため過去問の解答を暗記していると間違える可能性が大でした。また、書籍での筆記試験過去問集も売っているのですが、法改正に対応しているのかがよくわからなかったためメインの過去問は前述のサイトにお世話になりました。2度目の筆記対策に際して、1度受かっているから余裕があるだろうと踏んでいたのですが、実際解き直すと全然覚えていないことが発覚しました。関連法令は細かい知識を要求されるので半年程度ブランクを空けると記憶が抜けてました。1度目の筆記対策の時は気にならなかった部分も気になってきて、勉強により知識が深くなったためだと思いますが、e-govを見る頻度が跳ね上がりました。パソコンモニターにほとんど常にe-govが開かれているレベルでした。ただ、そもそも法律の条文に全く慣れていないので、慣れるまではしんどいの一言でした。法ー令ー規則というルールで作っていると思いますが、そのことも知らずに読んでました。法律の条文の書き方のルールはwebサイトなどに書かれているものがあるので把握しておいたほうが効率がよいです。法→令→規則の順で該当条文を探すのはなんとかできますが、今でも規則→令→法に遡る検索方法がわかりません。

粉じん則などは特定粉じん作業ごとにそれぞれ対策が異なりますが、この辺りの暗記が非常に困難だったので覚えにくいところは自分で条文をまとめ直して簡略化した表を作ったりしてなんとか短期記憶に持ち込みました。

衛生一般については、1度目の口述試験対策である程度解答できる問題が多かった(お試しに過去問解いてみたら初見で7割は下回らなかった)ので、過去問演習時はさほど困りませんでした。難易度的にも衛生一般で6割を切った場合、おそらく関連法令でカバーするのは難しいレベルだと感じました。

衛生一般の対策としては各種ガイドラインをちょくちょく読むのと、衛生管理者のテキストで大体カバーできました。衛生管理者テキストに衛生管理者の実際の試験問題がついていたので解いてみましたが9割程度正答できるレベルでした。労働衛生コンサルタント試験では衛生管理者の試験よりも細かい部分や、法律の特例が聞かれることがあり、衛生管理者の試験問題はある程度余裕を持って正答できるレベルが要求される印象でした。ちなみに生理学や医学はほとんど対策してません。法改正ほどではないものの、ガイドラインも改正されていることがあるため最新のガイドラインを確認することが重要です。口述試験のヤマとしてもガイドラインの改正点は対策必須になりますので改正点は注意する必要があると思います。

筆記試験は自己採点で合格が確信できたので、筆記試験後数日してから口述試験対策を始めました。柳川先生のサイトに筆記試験の自分の回答を入力すると会員ページへのログインパスワードをもらえます。会員ページに口述試験の過去問が掲載されており、自分で解答作成から始めました。解答作成がどうしても時間がかかってしまい、結局2年分しかできませんでした。また、健康管理が記述形式なので口述試験の対策として健康管理の解答を暗記することも有用と考えました。ただ健康管理もボリュームが多いので4年分だけ、計算問題はスルーして口述試験で聞かれそうなところをメインで覚えました。さらに、厚労省が出しているQandAのページも目を通して重要そうな部分を暗記しました。過去問の解答作成の際にもQandAを参考にして作った部分もあるのですが、かなり消極的な解答になってしまったものもあり、取捨選択は重要でした。例としては、「作業環境測定や特殊健康診断はしているがリスクアセスメントはしていない事業所に対してどうアドバイスする?」などです。QandAではリスクアセスメントは必須ではないとの記載がありましたが、経皮曝露のリスクを考えていないため、より模範的な解答(だと思う)のは、「作業環境測定は気道曝露しか考慮していないが有害物質を取り扱う際には経皮曝露も考慮する必要があるため、リスクアセスメントをすることが望ましい」ではないかと思います。とはいえQandAは厚労省が出しているものであり、言ってみれば試験側の組織なので当然参考にするべき箇所も多いことから、一読はしておくべきだと思います。

暗記した優先度としては、過去問•口述試験対策本>対策講義の予想問題>>>>>QandA>健康管理です。暗記方法としてはスマホの単語アプリに問題と回答をいれて、暗唱を繰り返すというものでした。ただ単語アプリの問題作成にも時間がかかってしまうので、実際アプリで勉強できたのは11月に入ったあたりからでした。だいたい300問ぐらいのボリュームでした。インプットする時間が必要ですがなかなかまとまった時間がとれなかったので、遠くへ買い物に行くときに家族が運転して自分は後部座席で暗記する、電車内で暗記する、など隙間時間をなるべく活用するようにしました。暗記の際にも、持っている知識をどのように簡潔に口頭で説明するか、を意識しました。問題にもよりますが基本的に1−2行程度での解答を心がけました。

ただ暗記しても本番で答えられるかどうかは別問題なので、口述試験の対策として模擬面接を繰り返すことが重要です。2度目の試験では有志とwebで模擬面接をしまくりました。労働衛生コンサルタント口述試験対策本の解答例と口述試験過去問の解答例をほぼ丸暗記して、アウトプットの練習で模擬面接をしました。また口述試験対策講義を再度受講し、今回は予想問題の解答も作成しました。量が膨大(試験本番までの時間に対して)、複数人で分担して解答作成をしました。これについても暗記をしようとしましたが、結果的に覚えきれず(問題に対する答え自体は対策本や過去問で答えられるが)、資料集的な使い方にとどまりました。対策講義のスライドも後日配布されるのですがページ数が膨大で(700ページぐらいある)最初の100ページぐらいまでは読みましたがそもそも全体に眼を通すことすらできませんでした。一緒に模擬面接をしていた人の中でも読み切れた人は多くなかったようです。知識量自体は対策講義をすべて読まなくてもおそらく合格できる知識量には至れるので、インプットよりもアウトプットに注力しました。合格体験談などでも模擬面接は重要と言われてますが本当にその通りで、自分の知識を他人にわかりやすく言語化して伝えるのは自分1人ではできないので、ぜひ模擬面接できる相手を探したほうがよいと思います。最悪家族などでも良いですが、できれば産業保健の知識がある相手が望ましいです。X(旧Twitter)で募集している人もいました。自分が重要と思っているポイントがズレていることがあり、独学では間違いに気付けませんが複数人で勉強会をやると間違いに気付けたり重要なポイントを共有できるのでおすすめです。自分の中で1度目と2度目の受験での一番大きな違いが、グループ学習の有無でした。

正確には数えていないですが、模擬面接は10月末から口述試験前日まで行い、特に年末年始は毎日1.5時間×3回ほど模擬面接をしましたので、合計50回くらいはやったと思います。正月らしいものは一切食べてなかったです。業務スーパーでチャーハンなどの冷凍物を大量に買い込んで、年末年始の食料にしてました。一応勉強の合間を縫って子供と初詣だけ行きました。

本番では質問に対して特に考えずに答えられた問題もあり(ほぼ無意識で答えたレベル)、模擬面接を繰り返した成果だと思います。口述試験を合計2回受けて、1-2問は2回とも同じ質問を出されました。実務経験なし、病院勤務の場合に聞かれる質問はある程度パターンがあるかもしれません。膨大な出題範囲で、聞かれる可能性の高い質問を1問でも予想できるのは非常に大きいです。全体的な立ち回りとしては、足りなければ更問されることを前提で解答するようにしましたが、本番では更問は全然されず、解答を試験官が付け足す形でした。更問されるかどうかは試験官によるところも大きそうです。加点方式なのか減点方式なのかわかりませんが、更問前提での解答はリスク高いかもしれません。

全体としては出された問題に対してすべて正答はできませんでしたが、結果的に合格できたのでよかったです。

 

2年間で合格までに要した費用は、受験料が約25000円×2、筆記試験の交通費1000円×2、12月の口述試験対策講義がだいたい30000円×2、口述試験の交通費が往復20000円×2、1回目の口述試験では前泊したので10000円、テキスト代15000円程度、その他雑費含めて2年間でだいたい20万円程度でした。1回で受かれば最低10万円ぐらいでいけると思います(居住地にもよりますが)。

合格後にコンサルタント登録する際にも費用が発生するのと、コンサルタント会に入会するかどうか、登録後の講習会受けるかどうかなどでも変わってきますが、合格までに10万円、合格後に10万円用意しておけばなんとかなりそうです。

 

今後受ける人、特に実務経験や産業医資格なしで受ける人の参考になれば幸いです。

ご質問あれば答えられる範囲でお答えします。最後まで読んでいただきありがとうございました。

第48回神経内科専門医試験の感想

第48回神経内科専門医試験に受かりました。

受験者数が少ないこともありなかなか情報がなくて不安が多かったため、今後受ける先生の参考になればと思いブログを開設しました。あくまで個人の感想ですので参考程度に考えていただければ幸いです。試験対策として行ったことを備忘録的に書いており、それ以外の意図はありません。

第47回の試験が2022年2月、第48回が2022年10月と半年ちょっとの間隔で行われました。私は内科専門医へ移行した初代の世代だったので、神経内科専門医の研修で神経内科版Josler(新制度で研修している先生には伝わる表現だと思います)で症例登録を規定数行う必要がありました。当初90症例必要だったはずですが、新型コロナの影響なのか45症例ほどでよくなりこの点は負担が減りました。

私は市中病院勤務だったので症例の大半は脳卒中でした。その他の疾患は最低限しか登録していません。突っ込まれるとしたら面接試験で症例の偏りを指摘されるかと思いましたが、面接官の先生からは「脳卒中多いね」ぐらいで終わったので、100文字の症例登録は突っ込まれることを心配し過ぎる必要はなさそうです。A4用紙2枚のレポートはかなり突っ込まれるのでこちらは症例をきっちり選んだほうがよいです。

2022年3月ごろまでにレポートを書き上げ、4月ぐらいから一次試験の勉強をはじめました。主に使用した参考書は以下のとおりです。

神経内科専門医試験問題 解答と解説

医学生•研修医のための脳神経内科

◯神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために

◯ここからはじめる!神経伝導検査•筋電図ナビ

◯ここに目をつける!脳波判読ナビ

◯臨床のための筋病理

◯カラーアトラス末梢神経の病理

◯神経病理インデックス

◯頭痛外来専門医が教える!頭痛の診かた

これに加えて、有志が作っている過去問を5年分やりました。

最初に「神経内科専門医試験問題 解答と解説」を問いてみて、ほとんど解けず知識のなさに絶望します。過去に試験を受けた先生方のブログなどでも同様のことが書いてあるのでそういうものなんでしょう。数年前までの過去問しか載っていないですが、解説がしっかり書いてあることと、この本が本試験唯一の公式問題集なので避けて通ることはおすすめできません。一通り問いて(読んで)、自分の知識のなさを確認してから「医学生•研修医のための脳神経内科」を通読しました。この界隈では通称神田本と言われているようです。普通に分厚い本ですが、読みやすい文章で書いてあり最低限これだけは知っててほしい、という内容が書いてあるので通読はそこまで苦になりませんでした。著者の神田先生は神経内科専門医試験の認定委員長を努められたこともあるようなので(第46回日本神経内科専門医試験の総括)、その意味でもほぼ公式本と考えて使用しました。神経内科専門医試験は神田本を丸暗記すれば受かるという意見もあり、気合を入れて読むに値する本だと思います。私は試験本番までに4周しました。試験会場でも持っている受験者の先生が多かったです。ちなみに私は試験以外に実臨床でも読んでいます。処方例などは書いてないのでアンチョコ的な使い方には向きませんが、普通に教科書として良書です。

電気生理を学ぶ時に読む本は「神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために」が多いと思いますが、私は電気生理が苦手なこともあり(そもそも得意と言える領域はないですが...)、なかなか頭に入ってきませんでした。「ここからはじめる!神経伝導検査•筋電図ナビ」のほうが比較的読みやすかったので、こちらを先に読んでから足りない部分を「神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために」で補うように使いました。電気生理で出題されるのは大抵神経伝導検査と筋電図なので、普段臨床で電気生理をやっている先生は簡単かもしれません。有志の過去問で対策してもいいとは思いますが、筋電図の画像問題などは再現者によってそもそも答えが違う画像を持ってきているため(fib、fasciculationなど)なかなか体系的な勉強が難しいです。画像問題自体再現者によって異なるのは仕方ないですが...。他に筋電図領域で個人的に厄介だったのは、健常者で見られる筋電図所見はどれか、みたいな問題です。PSWやfib、fasciculationなどを並べられており、PSWとfibは本質的に同じものなのでは?と思いますがテストである以上どれかを選ばねばならず、結局よくわかりませんでした。上述の参考書をみても正解が違っており、仕方ないので自院の電気生理の先生に聞いたら更に答えが別れるというスパイラルに入りました。幸運にも本番ではそのような問題は出ませんでしたが...。

脳波についてはそこまで難しい問題が出るわけではないようなのでどれで勉強してもよさそうです。難易度と対策する時間のバランスを考えると、 薄めの(入門書的な)本を一冊通読すれば十分対応できると思います。

神経内科の専攻医で普段から病理を見慣れている先生は多くない気がしますが、病理分野は確実に出題されるため対策は必須になります。筋病理は「臨床のための筋病理」がベストだと思いますがなかなか通読は困難な分量です。過去問を問いてみてわからない時に調べる用に使いました。筋病理で出題されやすいのは炎症性筋疾患、筋ジストロフィーミトコンドリア病、ALSなどだと思います。

末梢神経病理は軸索変性と脱髄の、急性期と慢性期の所見を判断した上で答える問題が多い印象です。あとは抗MAG抗体陽性ニューロパチーなど、特徴的な病理所見がある疾患を抑えればなんとかなりました。

中枢神経の病理もよく出題されます。こちらはマクロ病理も判断できるようになっておく必要があります。「神経病理インデックス」や東京都医学研のホームページで目を慣らしました。変性疾患は神経内科の領域なのでCPCなどでもよく出てくると思いますが、脳腫瘍の病理も出題されます。私は普段脳腫瘍の症例は全例脳外科に依頼しているので、脳腫瘍の病理が全くわかりませんでした。過去問の再現でも再現者によって全く異なる画像が呈示されているので、皆苦手な分野なのかもしれません。出題されても1問ぐらいだと思うので、最悪捨てても合否には影響しない可能性があります。精神衛生上は良くないですが...。

頭痛も1題は出題される分野です。幸い出る疾患は限られてくるので対策すれば得点源になると思います。試験勉強のために読んだわけではないですが、「頭痛外来専門医が教える!頭痛の診かた」で神経内科専門医試験で問われる頭痛の大半をカバーできるのでオススメです。大概TACs、片頭痛群発頭痛、RCVSなど抑えておけばなんとかなります。片頭痛関連でCGRP製剤が話題になっているので、ここは覚えておいたほうが良いです。私は一般名をど忘れして非常に悔しい思いをしました。ちなみに二次試験の時にもCGRP製剤について質問されました。

認知症高次脳機能障害は過去問を解きながら、ガイドラインを調べたりして対応しました。この領域については特に参考書は買っていません。

疾患ごとの遺伝子についても有名どころは覚えておく必要があります。ミトコンドリア病やトリプレットリピート病、CADASILなどは頻出なので覚えればよいですが、ALSや家族性パーキンソン病の遺伝子を覚えるかどうかで悩みました。結局、選択肢で出された時に正答を選べればよいので、ふわっと覚えるぐらいでなんとかなりました。ただパーキンソン病は過去問に出た遺伝子は覚えたほうがよいです。

毎年初めて出題される疾患がいくつかあり、これらは翌年以降で再度出題される可能性があります。ですので過去問で出題された疾患は一通り知っておいたほうがよいです。

過去問の解答やコメントで、前年の試験で正答率が低い問題がリベンジで出題されやすいと書いてあったので、専門医試験の総括も目を通しておくと良いと思います。神経学会総会で専門医セミナーを毎年やってきて、セミナーの中からも出題されるという噂があったためレジュメを覚えるレベルで読みましたが結局出ませんでした。ただ、専門医セミナー自体は実臨床にも役立つ内容でしたので、試験に出るかどうかは別として受講しておくと良いと思います。

今更ですが有志の過去問は受験者が再現しているのでどうにかして入手する必要があります。私は大学医局に所属しているので同期の先生からもらいました。もらう代わりに自分の受けた問題を分担して再現することになっています。私が受験した時は試験終了後に問題暗記する時間などはなくそのまま回収されました。もしかしたら受ける年度によって多少異なるのかもしれませんが、試験後に覚えるための時間はないと思っておいたほうが無難です。

二次試験は口頭試問と神経診察です。各20分ごとで行います。手荷物も全部持って部屋に入るので、遠征組はなかなか辛いところです。会場はホテルなのでクロークに預けるとか駅のロッカーにスーツケース預けるとかした方が楽かもしれません。私は2-3泊程度の旅行や学会はブリーフケース一つで事足りるので手荷物として持って入りました。部屋に入ると試験官が2人ずついて、神経診察のブースは模擬患者も1人います。おそらくバイトの人だと思いますが、普通に壮年期の人が模擬患者だったのでもしかしたら偉い人かもしれません。模擬患者=学生みたいなオスキーのイメージで行くとびっくりします。試験官も大学教授や市中病院の部長らしいのですが、私は不勉強のためご尊顔を存じ上げず、逆に緊張せずにすみました。ちなみに試験開始前は部屋の扉の前で待機して、呼ばれたら入りましょう。呼ばれまでは扉開けてはいけません(前の受験者がまだいる)。このあたりは学会側からアナウンスがないので要注意です。口頭試問、神経診察の両ブースで二回ともやらかしたので本当に注意が必要です。すごく焦ります。

神経診察では試験官が出題してくる診察を行います。私はNIHSS、腱反射を取りました。そこまで厳しい内容ではなく、穏やかな雰囲気で終わりました。眼底鏡も持って行きましたが全く使いませんでした。ちなみにNIHSSの感覚をみるときは爪楊枝を使いました。

口頭試問ではレポートについていろいろ聞かれました。略語で質問され、???となっていたら日本語で言い直されました。普段から英語や略語を使うようにしたほうが良いのでしょうか...。レポートに書いた疾患について治療介入しない場合の想定される経過も聞かれ、全く答えられず...。二次試験は対策困難とよく言われますが、レポートの症例や疾患についてはきっちり答えられるようにしておいたほうがよいです。本番では質問されない可能性も当然ありますが、唯一準備できることがそれぐらいなので。他にできることとしては美容院に行くぐらいでしょうか。基本的に身だしなみは問題ないと思いますが、念の為二次試験の週で美容院なり床屋で清潔感をブラッシュアップしておいたほうが良いかもしれません。私は2年ぶりぐらいに美容院に行きました(コロナ禍ということもあって普段は自分で切ったり、妻に切ってもらってます)。

二次試験が終わって1週間後ぐらいに合格発表がネット上および郵送で行われます。神経内科専門医試験は合格者の名前がネットに上がるので、同期が受かったかどうかもわかります。私は自分で結果を見る前に職場の上司から連絡がきて自分の合格を知りました。

専門医免許?は3月に届きました。新専門医制度に移行した関係で、専門医の登録費用は翌年以降に払うみたいです。

専門医を取れれば、晴れて難病指定医と身体障害の指定医の申請ができます(専門医なくても取れるみたいですが)。

プレッシャーの大きい試験ですが、神経診察や鑑別診断の考え方などが試験勉強前よりも明らかにレベルアップしたように思います。院内カンファなどでも自分のできる議論のレベルが上がった気がします。しんどい試験ですが、それ以上に得られるものが大きい試験であることは間違いないです。これを読んでいただいている方はおそらく受験を考えている先生だと思います。試験勉強はしんどいことが多いですが頑張ってください。

ちなみにアクセス数解析をみたところ、こんな内容のブログでもそこそこの方に読んでいただいていることがわかり感激です(とはいえ2023年8月末時点で50人ぐらいですが、受験者数を考えると十分すぎる人数です)。

誤字があったので一部修正したのと、加筆しました。ざっとGoogle検索した感じでは第48回の神経内科専門医試験について述べているブログはあまり見つけられなかったので、少しでも役に立てば幸いです。

ご質問等あればわかる範囲でお答えします。以上です。ここまでお読みいただきありがとうございます。長文失礼しました。